人工妊娠中絶と法律
人工妊娠中絶は、母体保護法に基づいて行われます。
人工妊娠中絶とは胎児が母体外では生命を保続することのできない時期に、人工的に胎児およびその付属物を母体外に排出することをいうと規定されています。
また、一定の条件を満たした場合のみ行うことができ、その時期は妊娠22週未満と定められています。
条件について
- 妊娠の継続によって母体が健康を害する場合
- 暴行などによって妊娠した場合
妊娠週の数え方
妊娠週は、最後に生理になった日を基準として数えます。最後の生理が妊娠第0週となり、次の生理予定日が第4週となります。生理が一週間遅れて気づいた場合は、だいたい第5週となります。
母体保護法(抜粋)
第1項
都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
第1号
妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるもの。
第2号 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの。
第2項
前項の同意は、配偶者が知れないとき、若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者が亡くなったときには本人の同意だけで足りる。
人工妊娠中絶手術
手術が受けられる期間は?
母体保護法により、手術は妊娠22週未満まで受けることができます。でも、それ以降はどんな理由があっても認められていません。ですから、望まない妊娠をしてしまったことに気づいた場合は、なるべく早く医師に相談することが大切です。
妊娠初期の人工妊娠中絶手術(妊娠11週まで)
手術は、全身麻酔をかけます。子宮頚管を広げ、器具(胎盤鉗子やキュレット、吸引器など)で胎児とその付属物をかき出す方法や吸引キュレットを使って、胎児と胎盤を吸いとる方法を行います。
中期の人工妊娠中絶手術(妊娠12週~22週未満)
人工的に陣痛をおこし、出産するのと同じように胎児と胎盤をまるごと出し、そのあと残った組織をかき出します。この時期は、なかなか出にくいので、1週間程度かかることもあり、お産と同じくらい大変です。
母体へのリスクは高くなるので、手術を受けなければならない状況になったらできるだけ早い週数で受けるようにしてください。
費用は?
保険適応外のため、手術の費用はすべて自己負担になります。
望まない妊娠を繰り返さないために
中絶を経験した女性の中には、中絶を繰り返してしまう女性が少なくありません。では、中絶や反復中絶(2回以上の中絶)を防ぐためには何をすればよいでしょうか?それは、避妊効果が高く、継続性の高い避妊法を行うことです。効果の高い避妊法には『IUS(子宮内避妊システム)』、『OC(低用量経口避妊薬)』、『銅付加IUD(子宮内避妊用具)』などがありますから、望まない妊娠を繰り返さないために、効果の高い避妊法をはじめることを考えてください。